ストックホルムの北東には、
数えきれないほどの島々が点在している。
その先は、バルト海。
人影はほとんどない。
森と岩場、
そして潮風だけ。
夏休み。
街を抜け、
草原を越え、
森の中を車で走る。
車を停めると、
静かな小道が海へと続いていた。
木漏れ日が揺れる。
森を抜けると、
青い海が見えてきた。
少し沖には、
小さな島が静かに浮かんでいる。
海辺の岩にブランケットを広げる。
腰を下ろす。
潮風が吹き、
波が岩をやさしく叩く。
ときどき、
一艘の船が島々の間をゆっくりと通り過ぎていく。
子どもたちは水着に着替え、
海へ飛び込んでいった。
私はブランケットに寝転ぶ。
陽射し。
潮風。
長い夏の午後。
それだけで十分だった。
ふと、
スウェーデン人の同僚のことを思い出す。
普段は、ごく普通の中古車に乗っている。
その代わり、
船にはずいぶんお金をかけている。
夏休みになると、
家族で船暮らしをし、
島々や湖をゆっくり巡るそうだ。
潮風が、
少しだけ涼しくなってきた。
荷物を片づけ、
来た道をゆっくり歩いて戻る。
私も、船がほしくなった。